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片渕須直監督コラム「すずさんの日々とともに」

   平成27年、西暦に直すと2015年の9月17日(木)。
   ここへきてスタジオ内の陣容も充実してきている。
   この機会にいわゆる「打ち入り」をしようということになった。
   思えばかれこれ5年間にわたって『この世界の片隅に』をアニメーション映画にする仕事を行ってきて、そのあいだに何度かスタッフたちで宴会だか食事会だからしきこともするにはしてきた。けれど、それで「打ち入りはもう済ませました」ということにしてしまうと、今スタジオ内にいるほとんどの人はそれを経験しなかったことになってしまう。本式の映画の打ち入りはスタジオ外にいる人も招いて結構なことをする場合もあるのだが、そういう大それたことを思い描いてしまうと、とりあえずこの辺でやっておこうかと思う飲み会はずいぶんとこじんまりした感じでしかなくて申し訳なさが漂ってくる。
   どう銘打ってよいのかどうかわからないままに、スタジオ内スタッフの親睦会を行うことになった。
   参加15名。スタジオ内で仕事する人はもう少しいるのだが、都合が悪くて参加できない人もあり、この人数になった。
   集まった顔ぶれを見ると、制作と美術を除いて平均年齢がけっこう高い。1989年『魔女の宅急便』の頃20代だった動画マンが、2000年『アリーテ姫』では作監や作監補佐として手助けしてくれ、2015年『この世界の片隅に』でも同じような立場で協力してくれている。長い付き合いになっている。

   ここのところは、まず美術に大量にレイアウトを供給しておきたいところがあったので、レイアウトとそのチェックを中心に作業を進めてきた。そのおかげあって、背景の作業が後手に回らないだろうと思えるくらいはレイアウトを作り上げることも出来てきた。だが、それだけでは原画、動画、仕上の作業が進まなくなってしまうので、いったん切り替えて、ある程度まとまったシーンを選んで、そこから完成させてしまおうということになった。
   ある程度見せられる映像が出来たら、それをあちこちでお見せしてしまおうというのが、この作品におけるずっと以前からの方針でもあり、これまでにクラウドファンディングのミーティングでお見せしてきた「パイロット・フィルム」や「冬の記憶」のほかに、いずれまた新しいものをお目にかけられることになるかもしれない。早くても11月後半以降のことになるのだが。

   それ以前に、まだ「パイロット・フィルム」や「冬の記憶」をご覧いただいてない方も多い。「冬の記憶」は7月中旬の完成だったので、東京でのクラウドファンディング・ミーティングでさえお目にかけることが出来なかった。
   ということで、いつものこのコラムの雰囲気とは違うのだが、そうした映像をお見せする機会についての告知も行っておきたい。

●10月10日(土) 岩手県花巻市
イーハトーブ・アニメフェスティバル2015~賢治のまち花巻から~
http://www.city.hanamaki.iwate.jp/event/1603/p006357.html
ここでは『マイマイ新子と千年の魔法』の野外上映と監督トークを行うのだが、あわせて、『花は咲く アニメ版』『これから先、何度あなたと。』さらに『この世界の片隅に』の既存映像も野外上映のスクリーンで上映する。

●10月17日(土) 東京都練馬区
練馬アニメーションカーニバル
http://animation-nerima.jp/event/carnival/carnival2015/contents/konosekai/
『この世界の片隅に』の「パイロット・フィルム」や「冬の記憶」を上映し、原作者こうの史代さんと監督のトークも行う。
(参加には事前申し込みが必要です)

2015年9月23日